研究課題/領域番号 |
63550157
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
柏木 孝夫 東京農工大学, 工学部, 教授 (10092545)
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研究分担者 |
野邑 奉弘 大坂市立大学, 工学部, 助教授 (50164736)
鎌田 佳伸 東京農工大学, 工学部, 助手 (40015045)
加藤 豊文 東京農工大学, 工学部, 助手 (70015056)
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キーワード | 相互不溶解性 / 補助冷媒 / テストプラント / 共沸 / 熱伝達率 / 物質伝達率 / COP |
研究概要 |
有効エネルギーの少ない太陽熱等の比較的低温レベルの熱源で作動でき、しかもサイクルの効率向上を計る観点から、新しい吸収サイクルとして相互不溶解性補助冷媒循環ループを有する高性能吸収サイクルの提唱を行ない、このサイクルの有用性及び作動原理を検証するために、実際にテストプラントを試作し、性能試験を行なった。 テストプラントは、通常の単効用吸収サイクルと同様の構造であり、新たに蒸発器と吸収器の間に補助冷媒循環ループを付加しただけの極めて簡単な構造より構成されている。なお性能試験においては冷房運転により評価を行ない、補助冷媒の循環有無による蒸発器・吸収器における伝熱特性及びCOPについて評価する。 まず最適な補助冷媒の選択方法については、本吸収サイクルの基本概念である作動媒体にたいして不(微)溶解性であり、効率向上を期待できるものとして本研究では高級アルコールに注目し、本サイクルの熱収支物質収支及び伝熱を考慮したサイクルシミュレーションを行ない、さらに経済性、安全性を考慮して決定した。 性能試験の結果、補助冷媒循環量を増加させることにより蒸発器、吸収器における熱伝達率、物質伝達率は減少する傾向を示した。これは蒸発器の濡れ性が悪く、また各冷媒の混合が不十分であり、補助冷媒の熱伝導率が極めて低いことから補助冷媒のが伝熱抵抗になるためと考えられる。一方COPに関しては、補助冷媒を循環させることにより、蒸発器内の共沸組成比に相等する汲み上げ熱量の増大が確認できた。そしてCOPは最大20%程度の向上を示し、この新しい吸収サイクルの作動原理及び有用性が立証できた。しかし現在、蒸発器が律速になっているように、まだ問題点が残されている。したがって今後は、要素研究を進めることにより、総合的な効率の向上を計る。
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