研究課題/領域番号 |
63550166
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
城戸 裕之 九州大学, 工学部, 教授 (50037959)
|
研究分担者 |
中島 健四郎 九州大学, 工学部, 助手 (60037869)
|
キーワード | 燃焼現象 / 予混合燃焼 / プラズマ電位 / 静電探針 / 乱流火炎構造 / ダムケラー数 / 乱れ強さ / 乱流燃焼領域モデル |
研究概要 |
壁面近傍における予混合乱流伝ぱ火炎の挙動は、そこでの火炎の微細構造と密接な関連を有する。このような観点から、本年度は壁面近傍での微細な空間構造を解析するために、まず静電探針による乱流火炎帯の厚さ方向の計測を行った。従来は、探針に電場をかけたために生じるイオンシースの厚さが印加電圧により変化するので、実験結果相互の比較が困難であったが、本研究は定容容器内予混合層流伝ぱ火炎のプラズマ電位信号を、探針に電場をかけずに計測し、それが火炎素面検出に応用できることを示した。この方法は空間分解能にも優れることを確認した後、予混合乱流伝ぱ火炎構造を計測した。球形に近い定容容器の中心部に、均一でほぼ等方的な定常乱れ場を作り、中心点火により燃焼実験を行った。アース(燃焼容器壁)と電気的に絶縁された火炎のプラズマ電位を計測するために静電探針の検出部以外は絶縁した。 その結果、乱流伝ぱ火炎の深層構造についての解析と考察により、以下の点が明らかになった。火炎帯厚さは乱れ強さの増大と共に厚くなり、同じ乱れ強さでは乱流混合の化学反応特性時間に対する比であるダムケラー数の減少と共に厚くなる。また、火炎帯での未燃混合気塊の平均的な中心間距離は、既燃ガスの膨張のため未燃ガス中のそれの2倍程度となる。観測面と垂直方向に火炎が伝ぱする場合の壁面近傍では、火炎帯厚さは薄くなり、火炎素面の数は減少する。このため、未燃混合気塊の平均的な中心間距離は壁面近傍でもほとんど変化しない。 また、代表者らの予混合乱流伝ぱ火炎微細構造モデルで、未燃混合気塊の空間尺度を乱れの縦方向積分空間尺度とした場合の火炎帯厚さの予測値は、実測値とかなり良く一致することから、このモデルの有効性が確認された。さらに、火炎が観測面に沿う方向に伝ぱする場合の壁面近傍の火炎帯に関しては、製作した実験装置で基礎実験を行っている。
|