エンジン内での予混合乱流伝ぱ火炎微細構造については、乱流燃焼の速さや火炎伝ぱ限界と密接な関連を持ち、種々の研究がなされている。代表者らは、しわ状層流火炎と群島状火炎の燃焼分担役割を考慮した乱流火炎微細構造モデルを示し、シュリ-レン像縞間隔の実測値がこのモデルによる予測値と一致することを示した。 本研究では、強い乱れ場の中を一方向に伝ぱする乱流火炎微細構造測定装置を製作し、中心軸上における火炎伝ぱ方向並びにそれに直角方向からのシュリ-レン写真撮影と、静電探針による火炎面プラズマ電位信号の計測を行い、伝ぱ火炎の観察及び火炎領域厚さの解析を行った。また同時に壁面近傍での乱流伝ぱ火炎の微細構造を明らかにするために、混合気の特性(層流燃焼速度、層流火炎反応域厚さ)及び乱れ場の乱れ強さをそれぞれ独立に変化させた実験を行った。その結果、乱流伝ぱ火炎シュリ-レン像縞間隔は、ファン回転速度の増加と共に急激に小さくなり、層流火炎反応域厚さが薄いほど縞間隔は小さくなった。また火炎伝ぱ方向からのシュリ-レン写真にみられるように、断面周辺部では中央部より縞間隔は小さくなった。これは流れ及び火炎伝ぱに対する壁面の影響によるものと考えられる。静電探針での計測によれば、ファン回転速度15000rpmで70mm以上の火炎領域厚さが計測され、高強度乱流伝ぱ火炎の計測が本装置により可能となった。また壁面近傍での乱流火炎面イオン電流のピ-ク数は、燃焼室中心軸上より多く、乱流伝ぱ火炎構造に対する壁面存在の影響が大きいことが分かった。また、静電探針により計測されたファン回転速度15000rpmで三種類の混合気の火炎素面間隔はほぼ一定になるという重要な結果も得た。これを詳細に検討するために、今後は乱れ場の強さを測定し、さらに異なる混合気についても同様な実験を試みる必要があるものと考えている。
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