研究課題/領域番号 |
63550167
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 駿 九州大学, 工学部, 教授 (30037741)
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研究分担者 |
松永 崇 久留米工業高等専門学校, 助教授 (60117249)
森 英夫 九州大学, 工学部, 助教授 (70150505)
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キーワード | 相変化 / 沸騰・蒸発熱伝達 / 冷媒・油混合液 / 水平管内流 / 伝熱促進 / ら旋溝付蒸発管 / 蒸発器 |
研究概要 |
1.油を含む冷媒の軸対称な気液環状二相流の伝熱モデルを作成し理論的検討を行った結果、対流熱伝達に及ぼす液膜中の物質拡散の影響および物性値の半径方向変化の影響はいずれも無視できるほど小さいことがわかった。したがって、油を含む冷媒の水平平滑蒸発管内の熱伝達係数は、対流支配域では、純冷媒の熱伝達整理式に油混入による物性値の変化を考慮して見積もることができる。しかしながら、高熱流束の場合には管周方向の油濃度分布による熱伝達係数の分布を考慮した予測方法を考案する必要がある。また、主に低クオリティ域では、フォ-ミングによる伝熱向上についても考慮する必要がある。 2.内面ら旋微細溝付蒸発管を用いて平滑蒸発管と同様な条件で実験を行い、油を含む冷媒の溝付蒸発管内の伝熱特性と伝熱促進に関して次の結果を得た。 (1)冷媒に油を混入すると、油質量分率およびクオリティが大きくなるほど一般に伝熱は著しく悪化する。しかしながら、比較的高質量速度で高熱流束では、低クオリティ域で油による伝熱の向上が認められる。 (2)油を含む冷媒の低質量速度における溝付蒸発管内熱伝達係数は平滑管の値の約2倍であるが、この伝熱促進の程度は純冷媒の場合に比べて約2/3に低下している。この油混入による影響は、溝内に形成されるメニスカス液膜の形状の違いによって理論的に説明できる。 (3)油を含む冷媒の高質量速度における伝熱促進の程度は、低熱流束では、純冷媒の場合と同様に、小さいが、熱流束と油質量分率が大きくなると、純冷媒の場合とは異なり、高クオリティ域で著しい伝熱促進が達成される。これは、平滑管では管頂部付近の伝熱が油濃度の高い液膜のために著しく低下しているのに対し、溝付管では管頂部付近の伝熱がさほど低下しないためである。
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