研究実施計画に基づき、昭和64年度は波形流路を流れるレイノルズ数の低い流れ(Re=40〜2000)の圧力損失を測定し、波形流路の臨界レイノルズ、摩擦係数とレイノルズ数との関係を明らかにした。合わせてパ-ル顔料を用いた流れの可視化実験もおこなった(第26回伝熱シンポジウムにおいて発表)。実験をおこなった波形流路の流路形状は折れ曲がり角θ=30°、45°である。全長すなわち折り曲がりのサイクル数はθ=30°の場合19.5サイクル、45°の場合25.5サイクルである。波形流路の山の高さはいずれの場合も10mm、流路幅は5、10、15mmの3種類で、合計6種類の幾何形状をもつ波形流路について実験をおこなった。その結果、臨界レイノルズ数が流路の折れ曲がり角が30°の場合Re=100〜210、45°の場合Re=60〜220であることを明らかにした。また臨界レイノルズ数前後の低レイノルズ数域(Re=40〜2000)の摩擦係数が流れを層流と仮定した数値計算値と一致することを明らかにした。 平成元年度は上記の研究成果を基に、臨界レイノルズ数前後の低レイノルズ数域(Re=200〜550)における、伝熱特性をナフタリン昇華法を用いて調べた。流路形状はθ=30°、1サイクルの長さは20mm、流路幅は10mm。流路の全長すなわち折れ曲がりのサイクル数は13.5サイクルである。流路の横幅は110mmで、流路断面のアスペクト比は11である。実験をおこなった流路形状はこの一種類である。モジュ-ル長は1.5サイクルで、この1.5サイクルごとの平均物質伝達係数を求めた。その結果、周期発達域の平均物質伝達係数は物質伝達と熱伝達とのアナロジから流れを層流と仮定した数値計算値とほぼ一致することがあきらかになった。このことから、低レイノルズ数域の乱れが熱伝達におよぼす影響が小さいこともあきらかとなった。
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