研究概要 |
本年度は、都市ごみ焼却炉の実排ガスによて被毒し脱硝率の低下した触媒に、種々の熱処理を行い再生を試みた。この場合の触媒の諸特性を求めて、被毒成分の変化を考察することより、触媒の最適な再生方法について検討した。さらに、劣化に係わる成分の個々の影響を求めるために、実排ガス中に多く含まれる塩化水素(HCI)と、実ガステストの触媒中に蓄積したダストでもっとも多い硫酸根SO_4^<-->を触媒被毒に関連する成分と仮定して、高濃度のHCIと流黄酸化物(SOx)を含む混合ガスを流すことによって強制被毒実験を行い、触媒の被毒状況や脱硝率の変化および再生方法について検討した。なお、排ガス中に含まれる水分が脱硝反応に及ぼす影響についても考察した。以上より以下の結論を得た。 (1)触媒の表面反応を促進するには、比表面積、細孔容積の大きいことが重要である。細孔容積は主に半径100〜150αA2F2以下の細孔の数に影響される。この細孔は排ガス中のSOxと過剰NH_3の反応生成物である硫安、酸性硫安によって閉そくされ、脱硝率は低下するが、これは加熱再生可能な一時被毒である。また、反応生成物のNH_4CIによる150αA2F2以下の細孔の閉そくは見られず、脱硝率も低下しない。 (2)触媒の加熱再生処理について、従来の400〜450℃の処理温度よりも高い510℃付近とすることで、触媒の活性をさらに回復することが可能である。また、510℃で数回の繰返し熱処理を行っても脱硝率は低下せず、触媒の活性成分も溶融しない。 (3)触媒を510℃で加熱再生した場合、硫安、酸性硫安、K_2O,MgCO_3などによる影響は除去されるが、脱硝率は新触媒の値には戻らない。600℃の処理で被毒成分は揮散し付着物の影響がなくなるが、一方では加熱処理により活性成分の溶融や、触媒の比表面積が減少して、これらが相互に脱硝率に影響する。
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