都市ごみ焼却炉の排ガス中の窒素酸化物(NOx)の除去に関連して、これまで研究代表者らは、焼却炉に乾式排煙脱硝テストプラントを製作し、触媒を用いた接触還元脱硝法を実排ガスに適用した場合の、脱硝性能に及ぼす温度、還元剤量、ガス量、触媒量などの影響を考察してきた。本研究では、触媒層の層高、滞留時間、空塔速度の影響や未反応還元剤の排出について混合ガスを用いて検討し、また、接触還元脱硝法を実炉に適用する場合に、最も問題となる被毒した触媒の再生方法についても考察した。被毒触媒の再生については温風・温水処理、電気炉処理などの熱処理法が併用されて試みられてきたが、最も省エネルギ-的な方法については確定されておらず、各処理方法による触媒被毒成分の変化も不明な点が多い。本研究では、都市ごみ焼却炉の実排ガスによって被毒し脱硝率の低下した触媒に、種々の熱処理を行い再生を試みた。この場合の触媒の諸特性を求めて、被毒成分の変化を考察することより、触媒の最適な再生方法について検討した。さらに、劣化に係わる成分の個々の影響を求めるために、実排ガス中に多く含まれる塩化水素(HCl)と、実ガステストの触媒中に蓄積したダストでもっとも多い硫酸根SO_4^<-->を触媒被毒に関連する成分と仮定して、高濃度のHClと硫黄酸化物(SOx)を含む混合ガスを流すことによって強制被毒実験を行い、触媒の被毒状況や脱硝率の変化および再生方法について検討した。なお、排ガス中に含まれる水分が脱硝反応に及ぼす影響についても考察した。
|