研究概要 |
NC工作機械が大量生産に有用なのは明らかであり、とくに、複雑な形状の機構部品を加工するのに向いている。しかし、NC工作機械は万能とは云えず、歯車のような特殊な部品を加工するのが不得意であった。例えば、数年前までは、NCホブ盤で加工された歯車の精度は機械式のホブ盤で加工されたものに比べて良くないのが普通であり、高精度加工に向かないとされていた。 研究代表者の江村は、その原因が工具軸とワ-ク軸の同期回転が正確に保たれていないことに起因することをつきとめ、回転速度は一定だが極めて高精度で同期回転を保ち得るサ-ボ機構を開発している。また、実際にホブ盤に組み込み、十分な歯切り精度を有していることを確認している。 ところで、産業界においては、加工コストの低減のため、加工時間の短縮が急務である。そのため、加工速度の向上を目指し回転速度の増大をはかる研究を行った。ただし、回転速度を上げることにより回転精度が悪化するのでは、無意味である。そこで、昨年度は、歩行ロボットの研究で培われたダイレクト・ドライブの技術を駆使して試作したDD式ホブ盤を用いて、高速化のための基礎的デ-タを得た。 また、本年度は、大幅な高速化をはかるため、新しい方式のPLLを開発した。さらに、実際に歯車加工機に搭載可能な大出力を有する高精度高速度サ-ボスピンドルを試作した。 実験の結果、試作のスピンドルは、4,000rpmの高速回転において、20"pp程度という高精度で回転することが確認された。この程度の回転速度と回転精度を有していれば、NCホブ盤のみならず、NC歯車研削盤にも十分搭載可能なのは明らかである。
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