1.システムのグレードアップについては、所期の目的が達成された。すなわち、32ビットパーソナルコンピュータを購入し、現有のホストコンピュータに置き換え、制御システムの演算処理能力をおよそ一桁向上させた。また、これに伴い、既存のソフトウェアのROM化を進め、システム全体をより使い易いものとした。 2.両手の相対運動が微小運動に限定される場合について、すでに導いている基礎理論を本システムにインプリメントし、実験を行った。さらに、本方式をマスタスレーブ方式と比較検討することにより、その優越性を確認し、新方式としてのメリットを確認した。 3.両手の相対運動が微小運動に制限されない一般の場合についての理論展開を行う第一歩として、ピンを穴に挿入する(PEG-IN-HOLE)作業について検討を行い、作業を成功させるために必要な座標系を経験的に導いた。この座標系は今後厳密な理論展開を行うための参考試料として重要である。 4.協調制御に必要となる力制御について、基礎的な解析と実験を行い、制御系の安定性に影響を及ぼす諸因子を明らかにした。 5.以上は交付申請書に記載した研究計画に対応した成果であるが、それ以外に研究の過程で新たな問題を発見し、基礎理論の拡張を行った。この理論は負荷分配に関するもので、前の基礎理論は、この問題を取り込むことでより統一的なものに拡張された。さらに、この拡張された理論上で負荷分配アルゴリズムを検討し、その有効性を実験により検証しつつある。 以上を総括するに、本研究は当初に立てた計画以上の成果を生み出しつつ、おおむね順調に遂行されつつあるといえる。
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