研究課題/領域番号 |
63550180
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
和田 仁 東北大学, 工学部 (30111264)
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研究分担者 |
小林 俊光 東北大学, 医学部, 助教授 (80133958)
高坂 知節 東北大学, 医学部, 教授 (80004646)
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キーワード | 音 / 振動 / コルメラ / セラミックス製人工耳小骨 / 最適設計 / 伝達率 |
研究概要 |
人工耳小骨は以前プラスチック製であったが、約4年前より組織親和性があり生体安定性のよいセラミックス製人工耳小骨が厚生省の認可を受けて臨床応用が始まり、現在盛んに使用され始めている。しかし、現在使用されている人工耳小骨の形状は、挿入性より決定され、動的考察がなされていない。そこで本研究では、実測により得られた人間の耳の種々の形状や物性値を基に、理論的手法により、鳥類等でみられるコルメラタイプセラミックス製人工耳小骨の動的最適設計を行った。得られた結果を以下に述べる。 1.鼓膜の半径と人工耳小骨の半径の比は、小さい方が鼓膜から内耳への力の伝達がよい。しかし、鼓室内での人工耳小骨の安定性を考慮すれば、半径比は0.4〜0.6が最適である。 2.人工耳小骨の質量は、内耳からの抗力が標準的な場合、4×10^<-5>〜8×10^<-5>Kgが最適である。内耳からの抗力が大きい場合、上記の値よりも大きめの質量がよい。また抗力の小さい場合には、小さめの質量がよいが、選択幅が狭いので注意して質量を決定する必要がある。 3.鼓膜の形状の影響は、内耳からの抗力の影響に比べれば小さく、人工耳小骨の設計にあたり無視してさしつかえない。 コルメラタイプ人工耳小骨連鎖再建術後の聴力改善は、会話領域(f<4kHz)では比較的良好であるが、f>4kHzでの改善は悪い場合が多い。これは、耳小骨連鎖の自由度が低いことに起因しているのではないかと我々は考えている。そこで今後の課題・展望として、実験と理論解析(鼓膜にコニカルシェイプの多自由度系を、また耳小骨連鎖に複数個の非軸対称系を導入する。)より、手術時における挿入性を考慮しながら、自由度数のより高い人工耳小骨連鎖の形状を決定したいと考えている。
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