歩行システムは外部からエネルギーを一切導入せず、人間が誰でも利用し得る体重をエネルギー源とした。これの歩行システムへの変換は空気圧が最も良いと考えられる。 そこでまず変換器としてのポンプ及びシリンダを主体とした歩行部本体の製作に取りかかった。歩行する人の下肢の状態に応じて本システムが支援することになるので、エネルギーの流れは絞り弁等を介して制御できる様にした。またポンプ及びシリンダの選定は体重をどれだけの空気圧に変換できるか、と言う最も重要な視点に立って行われなければならない。そこでパーソナルコンピュータを用いてエネルギー変換に関するシミュレーション考察を行い、最適なサイズ及び容積を有するポンプとシリンダを決定した。 これらの検討結果の下に完成された歩行システムについて、健常者を対象に実際に装着して歩行実験を行った。体重は左右の腕を介して左右の歩行杖に伝達され、シリンダへと導かれるが、この場合の付加されるウエイトを全体重の1/3と仮定した。それによると体重60Kgfの人で最終的に得られる空気圧は約1.8Kgf/cm^2に達し、下肢を前方向に持ち上げて歩行が可能となることを確かめた。この体重を左、右と交互に掛けることによって、下肢を交互に前方向に進めることも確認され実用化への十分な見通しが得られた。 一方本歩行システムはポンプを始めシリンダその他の部品がどうしても市販品となってしまい、全体の重さが8Kgfとかなり重いものとなった。従って本研究成果を踏まえ、すべての構成部品をアルミ材等による特注品として製作することが今後の課題である。そしてそれが完成した時点で実際に歩行のリハビリテーションを必要としている人を対象に実用化に向けて検討して行き度いと考える。
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