昭和63年度におけるトリ-イング劣化の2次元画像解析、すなわち、トリ-の電極軸方向への伸び及び横方向への伸びと、トリ-の劣化面積の自動計測の成果を踏まえて、平成元年度においては、3次元画像処理技術を用いて、トリ-の劣化体積を計測するシステムについて、さらにトリ-形状の特徴抽出について主として検討した。 試料としては、アクリル樹脂の丸棒を用いた。当初ポリエチレンで行う予定であったが、透明度を考慮してアクリル樹脂を用いた。実験の方法としては、所定の交流電圧(50Hz)を長時間印加し、各印加時間におけるトリ-の画像を取り込み、その画像を処理することで、トリ-の劣化体積を推定した。体積の計測としては、4つの方法を考えた。 方法1.:幅を直径とする円の断面をそのラインにおけるトリ-の断面として積算した。 方法2.:輝度をそのまま奥行きに割り当てる方法 方法3.:CT法。試料を回転し、各角度におけるトリ-の画像から、トリ-の輪切り画像を求め、その総和から体積を求める。 方法4.:反射画像の物体の再構成を利用するもの。 以上、4種類の方法について種々検討した結果、方法2及び方法3が最も実際の物に近い体積を得ることができた。また、方法3のCT法の場合には、トリ-の先端部の断面画像が鮮明に見ることができ、先端部の分岐の状況を十分に把握することができた。この結果よりCT法を用いることにより、トリ-イング劣化の3次元的経時変化をトリ-状、ブッシュ状、まりも状と分類して特徴づけられることを明らかにした。なお、ソフトウェアの開発と、経済的に1台のカメラで3次元解析を行う方法の開発に時間を費し、液体中のダストの挙動については検討できなかった。
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