これまで金属電極間に誘電体を挿入しない二重放電型オゾナイザを試作し、そのオゾン生成特性を調べてきた。今回新たに電極が同軸状に配置された円筒型オゾナイザ装置を考案し、No.1およびNo.2装置を試作し、放電の様子および充電エネルギー、トリガー回路に接続されたコンデンサの容量Csをオゾン生成に与える影響について調べた。No.1およびNo.2装置の主電極間の間隔は各々3.5mm、9mmである。No.1装置を中心に以下述べると、外部円筒電極の内側に円柱型電極(内部電極)がスペーサにより保持されている。内部円柱電極の長さ(約11cm)方向に溝が設けられ、この溝が円周方向に12本等間隔に並んでいる。使用したガスは乾燥空気で2l/minで長さ方向に流した。電源コンデンサC_1に蓄えられる充電エネルギーに対してオゾン生成量を測定したところ、最大効率約83g/kwhが得られた。次にトリガ回路に接続されているコンデンサの静電容量Csの値を変化させたときのオゾン生成量の変化の様子を調べたところ、C_1=50〜1000PFの範囲ではオゾン生成量を最大にするCsの値が存在することが明らかとなった。トリガ電極部を構成するガラス管の静電容量はガラス管の厚さ、比誘電率(【approximately equal】4)、長さ11cmを考慮すると約54PFで、12本並列接続された全体の容量は約640PFとなる。他方、C_1=2000PFの場合にはCsを変化(100〜900PF)させてもオゾン生成量に大きな変化はみられなかった。放電特性の一例として、C_1=250PF、Cs=100PF、主電極に直列に挿入したギャップの長さを0.47mm一定とした場合には、充電電圧2.2〜3.6kVに対して、ピーク電流は300〜600A(半値幅約17ns)、主電極間に印加される電圧は数kV(半値幅約20ns)である。更に、大型化したNo.2装置を動作させたところ、大気圧拡散グロー放電が得られ、放電のくり返しを120Hz程度に増しても安定な放電が得られることも確認された。
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