モンテカルロシミュレ-ションによる室内照度計算は、主として無限長室内空間と立方体室内空間を対象に行った。前者は計算時間が短くてすみ、かつ、照度分布特性に影響を与える種々な要因、例えば室内面の反射率や遮光体の位置、大きさ等を比較的簡単に検討できる。一方、後者はより実際的な室内空間における遮光体の大きさ、位置そして反射と透過特性を実態に即して忠実に模擬でき、これらの影響を検討できる。 モンテカルロシミュレ-ションによる一連の照度計算を通じて、本手法の特徴として次の事項が上げられる。光源の配光や室内面の反射特性が複雑な事例や種々な形状と光学特性の遮光板をもつ室内空間の照度分布計算に威力を発揮する。また、照度分布の三次元グラフィクス化や空間光束密度の計算に最適な手法と考えられる。 今後の研究方針としては、上述の研究成果を基礎にロ-カルエネルギ-源としてその開発が強く要望されている太陽光発電システムの経済性の確立を目指している。経済的な太陽光発電方式の開発に当って第一に必要なことは、地球大気の光学特性を的確に把握することである。時々刻々変動する太陽エネルギ-特性を正確に知るために、大気光学特性をモンテカルロシミュレ-ション手法により検討する予定である。 以下に本年度得られた成果の要点を記す。 1.複雑な配光をもつ光源と種々な反射特性をもつ室内空間の照度分布特性の検討。 2.多数の透過性遮光板をもつ室内空間の照度分布特性。 3.室内空間を多数の微小空間に分割し、各微小空間における空間光束密度の計算。 4.室内空間におけるいわゆる“光の流れ方向"の検討。
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