研究概要 |
本年度の研究においては,まず発電機の鎖交磁束減衰やAVRの取り扱いが可能な積形非線形システムの拡張リアプノフ関数を提案し(ASME J.of Dynam.Syst.Meas.,Control掲載決定),次いで時々刻々変動する負荷への対処として,非線形システムのロバスト性をリアプノフ関数を用いて解析する方法を提案した.システムのロバスト性については,電力系統の標準モデルとして知られるル-リエ形非線形システムの解析(IEEE ACー36掲載決定,AMST'90)から始め,より詳細な電力系統モデルである複合形非線形システム(積形+ル-リエ形)の解析(平2年電気関係学会九支連大p.519,第9回計自学会九支講演会pp.51ー52)まで行った。非線形システムのロバスト安定性の解析の困難さは,システムに漸近安定領域が存在し,これがパラメ-タ変動とともに伸縮することにあるが,本研究では漸近安定領域が縮小しないための条件も導出している(第9回計自学会九支講演会PP・49ー50)。また,発電機が同期機であることから,リアプノフ法を用いて同期機の同期引入れ現象(琉大工紀要)や乱調振動現象(電気学会研究会)を解析するとともに,電圧変動時の過渡安定度問題についても考察した(平2年電気関係学会九支連大p.355)。さらに,評価関数を用いた同期化の改善法についても提案している(電学論110ーD).模擬電力実験システムに対しては,ラグランジュ・シャルピ法を用いてガバナ効果まで含めた非ル-リエ形リアプノフ関数を構成し,マイクロコンピュ-タでシステムをオンライン評価するソフトを開発した。これらにより,リアプノフ関数を用いた一つの電力系統のオンライン評価システムを構築することができた。この評価システムの有効性については,理論解析結果と実験結果を比較検討することによって示している(電学論111ーD)。
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