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1.昨年度の研究で明確にした手法を用いて、液晶分子に対する基板表面の配向を精密に制御し、それが強誘電性液晶の分子配向に及ぼす影響を検討した。その結果、配向力をある臨界値より弱くすると共に20V程度の方形波電圧を印加することによって、従来困難とされていた理想的な均一配向(ブックシェルフ構造)を実現し得ることを明らかにした。また、このブックシェルフ構造の形成機構を明らかにした。
2.ブックシェルフ構造の強誘電性液晶セルの電気工学的特性を詳細に検討し、次の点を明らかにした。(1)従来のセルと比較して良好なメモリ特性と著しく高いコントラストが得られること。(2)表面分子の配向スイッラチングに明確な閾特性がみられるようになり、マトリクス駆動特性が大幅に向上すること。これによって、マイクロ秒オ-ダ-の高速応答性と良好なメモリ性を有する光デバイスの実現の可能性が得られた。
3.温度変化による層間隔の伸縮によりブックシェルフ構造が破壊される可能性が考えられたので、この点について詳細な検討を行った。その結果、実際にはスメクティックA相への相転移温度の近傍数度Cの範囲でその問題が生じるのみであり、それ以外の温度では極めて安定であることがわかった。
4.表面配向力を支配している表面物性の本質についてはまだ十分な解明が行われていない。この問題は今後の課題である。
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