昨年度に引き続き、ア-ク放電法及びガス中蒸発法によって半導体微粒子の製作を行い、主としてフォトルミネッセンスにより量子サイズ効果や表面効果の評価を行った。 ア-ク放電法で形成されたSi微粒子は粒径の分布がやや大きく、またアルゴンのみでは安定にア-ク放電が起らないため窒素を混入する必要があったため、赤外分光の結果からSiーNの結合の存在が認められた。これらの理由から、以下の実験は主としてガス中蒸発法で形成されたSi微粒子を用いて行った。 i)電子顕微鏡による観察によれば、Si微粒子は約300A^^°の粒径を持つ球状であった。 ii)X線回折、ラマン分光分析により、Siが結晶化していることが確認できた。 iii)フォトルミネッセンス測定によれば、波長1.3〜1.4μmにピ-クを持つブロ-ドな発光スペクトルを示し、その強度は単結晶Siウェ-ハからの発光の数千倍に達するものがあった。 iv)Si微粒子を酸化処理すると、約50A^^°程度の表面層がSiO_2となったシエル状構造になることが電子顕微鏡観察により確認された。また、この酸化処理されたSi微粒子からのフォトルミネッセンスは、長波長成分からなる表面準位の関与した発光がおさえられ、約1.4eVにピ-クを持ち、可視光領域の2eV付近まですそを引いたスペクトルが観測された。1.levのバンドギャップを持つSiから可視光領域を含むルミネッセンスが観測されたことは、量子サイズ効果の発現の強い証拠である。Siウェ-ハにみられるピ-クからのエネルギ-シフトをもとに粒径を計算した結果、約50A^^°という値が得られた。 現在、Si微粒子の非線型光学定数の測定を準備中である。
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