交付申請書に記載した順に対応させて成果を述べる。 1.薄膜の試作 プラズマ重合後の熱処理が電気的特性に影響を与えることが昨年度までの研究成果として得られている。本年度は、さらにプラズマ重合中に酸素あるいは窒素ガスを混入し作成することを試みた。赤外吸収スペクトルから検討したところ、窒素混入プラズマ重合膜は未混入膜とほとんど変りないが、酸と混入プラズマ重合法の場合は成膜速度が極めて小さくなり、酸素の取り込みも空気中熱処理膜とあまり変りない。 2.絶縁破需特性の測定 交流電圧印加の場合の自己回復性破壊現象において、破壊値を評価する方法を確立し、コンピュ-タ制御による測定の自動化システムを完成した。破壊値の温度依存性は弱いが、湿度依存性は極めて顕著である。 3.電気伝導および電界発光時性の測定 空気中熱処理膜と真空中熱処理膜の高電界電気伝導特性を電極依存性も含めて検討した。空気中熱処理膜は真空中熱処理膜より電流値が小さい。また、Al電極の場合はAu電極の場合より電流値が大きい。パルス電圧印加による電界発光現象を調査したところ、Au電極の試合ははAl電極の場合より発光量が大きい結果が得られたが、雰囲気(真空中か空気中か)によっても影響を受ける。伝導電流と発光量との間にはより相関関係が存在する。60℃付近以下ではトンネル注入による電界発光が、それは雰囲気効果の点からより詳細に検討し、実用上における留意点を明かにする予定である。
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