研究概要 |
交付申請書に記載した研究実施計画に対応させて成果を述べる。 1.電気伝導の温度依存性,電極効果,雰囲気効果の調査。 PPE膜の電気伝導特性は、60℃以下では温度依存性を示さず、60℃以上で温度とともに導電率が増加するが,PPTFM膜では温度とともに単調に増加する。また、電極効果については、PPE膜ではAuの場合の方がAlの場合より電流値が大きい。PPTFM膜では、Auの場合絶縁破壊しやすくAlの場合のみ測定を行ったが,電流値はPPE膜に比べ1〜2ケタ小さく絶縁性に優れている。雰囲気効果では、PPE膜は酸素中で電流値が大きくなる特徴を有するが、PPTFM膜ではこのような現象はみられなかった。また,いずれの膜も吸湿により電流性が増加する。 2.絶縁性能(絶縁破壊の強さ、絶縁抵抗)の向上のための薄膜作成条件の検討。 PPE膜では、乾燥時には高い破壊値を示しているものの、吸湿により破壊値が顕著に低下する。一方,PPTFM膜では吸湿による破壊値の低下が小さい。高周波電圧(100〜100kHz)印加下における導電率(交流導電率)はいずれの膜でも75℃以上で増加しはじめる。PPE膜では,この導電率は吸湿により顕著に増加する。紫外線照射による影響を赤外吸収スペクトルから調べた結果,PPE膜では酸化が認められたが,PPTFM膜では酸化が認められず,酸素に対して強い膜であることが分った。以上の結果から、吸湿,紫外線照射の環境下で使用される場合には、フッ素を含んだ膜が絶縁性に優れていると思われる。
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