研究課題/領域番号 |
63550235
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
更家 淳司 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (90026154)
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研究分担者 |
松村 信男 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助手 (60107357)
西野 茂弘 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30089122)
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キーワード | アルミナ膜 / 光CVD / 有機金属原料 / 誘電特性 / 屈折率 |
研究概要 |
1.まず基礎データとして、有機金属化合物アルミニウムトリイソプロポキシド(Al(OC_3H_7)_3、以下ではATI)を原料とし、N_2、N_2+H_2、N_2+O_2雰囲気でAl_2O_3の堆積速度を調べた。N_2+H_2及びN_2+O_2中の堆積速度は、低温域で、N_2中よりも増加し、250℃で〜50〓/min程度の堆積速度が得られた。活性化エネルギーは、N_2中の19.1kcal/malに比べ、N_2+H_2中で3.5kcal/mal、N_2+O_2中で4.5kcal/malと約1/4に小さくなり、原料のATIとH_2、O_2の間に反応があることが明らかになった。なお、200〜250℃という低温では、原料N_2ガス中の微量の不純物ガスに堆積速度が影響され、再現性のある結果を得るには、非常に高純度のガスを使用することが必要であった。 2.いずれの雰囲気でも、基板温度の低下とともに、tanδは大きくなり、屈折率は小さくなった。しかし、N_2+H_2あるいはN_2+O_2中で作製されたAl_2O_3膜では、N_2中のものに比べ、堆積速度が増加しているにもかかわらず、tanδは同程度で、一方屈折率が大きくなり、膜特性の改善が見られた。 3.N_2雰囲気中、基板温度250℃で、低圧水銀灯からの紫外光照射により、堆積速度が〜20〓/min程度増加した。これらの膜ではtanδの減少、屈折率の増加が観測された。また堆積速度やtanδ、屈折率には、光強度依存性があることが確かめられた。 4.四重核質量分析装置による膜堆積時のガス分析の結果、分解生成物としてC_2H_5OHが検出された。他の化学種は、バックグラウンド中にうずもれている可能性があり、反応過程の追求には一層の工夫が必要である。 今後、紫外光強度の増加により、堆積速度の向上と膜質の改善を図る計画である。
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