研究概要 |
InPのMISデバイスへの応用を前提に、プロセスの低温化および無損傷化に対応した薄膜形成を行うため、光CVD法によるSiNをゲ-ト絶縁膜としてInP上に堆積し、その作製条件と界面特性の関係をプラズマCVD法によって作製したSiN膜と比較しながら明らかにした。 1.Sin/InP界面の評価:SiN/InP界面特性は、SiN膜堆積における基板温度と、NH_3/SiH_4の流量比に依存することがわかった。基板温度が高いほど界面準位密度は減少するが、400℃以上ではPの解離等によるため特性が不安定でかつ再現性のないものとなった。またNH_3/SiH_4が大きいほどSiN膜の組成がリッチになり、界面準位密度も減少した。基板温度350℃,NH_3/SiH_4が50のとき、界面準位密度の最小値3.8×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>が得られた。 2.InP表面の安定化:InPと絶縁膜の界面を制御する意味で、InPの光酸化、窒化を試みた。しかし作製した膜は、その膜厚の薄さあるいは化学的不安定の問題があり、これをInPのゲ-ト絶縁膜として使用するためには、さらに作製条件やMIS構造について検討を行う必要がある。一方、SiN/InP MIS構造において、SiN膜堆積時に酸素を添加し、SiN/InP界面の安定化を試みた。酸素を添加することにより、界面準位密度を1×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>前後まで減少させることができた。またESCAデプスプロファイルより、絶縁膜とInPとの界面にはInPの酸化層が確認され、これが何等かの形で界面の安定化に役立っているものと考えられる。
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