研究課題/領域番号 |
63550248
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
坂庭 好一 東京工業大学, 工学部, 助教授 (30114870)
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研究分担者 |
植松 友彦 東京工業大学, 工学部, 助手 (60168656)
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キーワード | IIR型エコーキャンセラ / テレコンファレンス / 安定性判別 / 離散時間システム / Kharitonovの定理 / 安定性保証 |
研究概要 |
テレコンファレンス等においてはエコーパスが音響系となる為非常に長いエコーが生じ、従来のFIR型のエコーキャンセラでは必要とされるタップ数が数千以上にもなり、ハードウェア量の増大ならびにタップ利得修正アルゴリズムの収束に長い時間を要するといった問題を生じる。 これに対する一つの方策として、IIR型のエコーキャンセラを用いることが検討されているが、安定性確保の必要性が新たな問題として生じてくる。従来のSchur-Cohn等の安定性判別法では適応制御に必要な計算量を遙かに超える計算量が必要となり、実時間処理に問題が残る。 本研究は、上記の問題に対する一つの対策として、分母多項式の係数の簡単な関係で与えられる安定性の十分条件を幾つか併用することにより、IIR型エコーキャンセラの安定性確保を行う方法を提案したものである。 まず、「係数が或る定められた範囲を任意に動くような区間多項式を分母多項式とするシステムが安定である為の必要十分条件」を新たに幾つか導出している。この必要十分条件の一つは、「システムの分母多項式から定まる4つの連続関数の組に関して、各組の関数の零点が互いに他を分離すること」として与えられ、その判定は非常に簡単に行える。従って、この定理を用いて予め安定な多項式の係数範囲を求めておけば適応制御に当たっては適応修正を行った分母多項式の係数が、定められた係数範囲のなかに存在するか否かで安定性判別が行え、簡単に安定性を確保した適応制御が行える。 また、上記定理を適用したIIR型エコーキャンセラの安定性保証に関して基礎的検討を行うと共に、最終的に各種エコーパスを想定した計算機シミュレーションにより、その有効性を確認している。
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