本年度は主としてルビジゥムの吸収線を波長の基準とし、変調時における800nm帯の半導体レーザの発振波長の安定化を行った。無変調時においてはすでに高安定度が達成されているので、本年度は主として変調パルス信号のON-OFF比を変えたときの安定度の検討を行った。 (1)まず、ルビジウムの吸収線に半導体レーザの発振波長を合わせるため駆動電流、温度を調整し最良、条件を見出した。 (2)高速変調信号を半導体レーザに印加し、半導体レーザの発振波長への影響を理論と実測とで比較検討し、変調により発振波長の幅が広がり吸収線の波形が鈍化してくるのを確認した。 (3)高速変調されたレーザ光と吸収線との差を示す信号を測定し、波長安定化のためのフィードバック回路の最適定数の検討を行い、値を決定した。 (4)以上の結果を総合して、変調時の安定度が最良になるように回路を構成し、1MHzの繰り返しパルス信号により半導体レーザを変調し、ON-OFFのパルス幅比をパラメータとして安定度の測定を行った。その結果、安定度はパルス幅比50%のときが最も悪く平均時間1秒のときのアラン分散値σは約10^<-10>であった。パルス幅比を40%、30%、20%と小さくするに従い安定度はそれぞれ1.2、1.5、2.7倍と向上し、無変調時の安定度に近付いていくのが確認された。 今後はさらに変調周波数を高くするとともに安定度の向上をはかり、1.5nm帯へ発展させる予定である。
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