本年度はルビジュウムの吸収線を波長の基準とし、周波数変調時における800nm帯の半導体レ-ザの発振波長の安定化と周波数確度の測定を行った。今回用いたピ-クホ-ルド方式は昭和63年度までに無変調時よりも高い安定度が達成されているので、本年度は変調パルス信号の周波数シフト量とデュティレシオを変えたときの安定化を行い、より一般的な変調条件での安定度の検討を行った。1.デュティレシオ50%の時、周波数シフト量を変化させた場合の制御信号について、理論と実験の両面で検討を加え、ピ-クホ-ルド回路を用いた場合、従来方式に比べ常に安定度が改善されていること。またピ-クホ-ルド方式で最高の安定度が得られた周波数シフト量の設定値が、当初理論で予想されていた値と等しいことを確認した。 2.デュティレシオを変化させても、ピ-クホ-ルド方式では従来方式に比べ、安定度への影響は小さく、より一般的な変調条件でもピ-クホ-ルド方式の有効性が確認された。 3.安定化の波長基準は変調を印加することにより変化する可能性が従来方式では存在する。そこでこの点に関しても実験を行い、ピ-クホ-ルド方式ではより確かな安定化点への安定化が実現できていることを確認した。 今回は、ピ-クホ-ルド方式の検討を優先させた為、飽和吸収分光を用いた安定化は行なえなかった。しかし、新しい安定化の方式を開発できたことは大きな成果であったと考える。今後は更に変調周波数を高くするとともに安定度の向上を目指し、当初計画していた飽和吸収分光を用いた安定化を行う。更に、1.5nm帯へピ-クホ-ルド方式を発展させる研究を進める予定である。
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