研究概要 |
微小物質の超音波浮揚は、強力な空中超音波による定在波音場内で行われ、その音場を形成する音源が必要となる。そのため本年度申請者らは、段つき円形振動板を用いた音源の開発を行った。 すなわち、中心駆動する平面円形振動板を音源として用いたところ、たわみ振動のため振動板上に振幅分布が生じ、隣り合う振動振幅は逆相となり、そのために放射される超音波は中心軸を境に左右に峰を生じた。 そこで強力でかつ単一指向特性を持たせるため、たわみ振動により生じる位相差をなくし、放射方向に対して同相で放射する効率のよい音源として、節円間に空中波長の1/2の段を設けた段つき円形振動板音源を開発した。 設計周波数は、設計の安易さと空中音波の減衰を考慮し、主に20KHZとした。使用した振動子は、ボルト締めランジバン振動子であり、これにジェラルミン製ホーンを製作して接合した。次に段つき円形振動板は、ホーンと同一材質のジェラルミンから加工し、切り出した。 試作した段つき円形振動板は、音源としての特性を測定する必要がある。そこで本年度設備備品として購入した1/8インチ計測用マイクロフォンを用い、段つき円形振動板から放射される音場を測定した。このマイクロフォンの特徴は、マイクロフォン外径が1/8インチ(約0.3cm)と細く、波長(約1.7cm)の1/4以下であるため、音場を乱すことなく音圧を測定することができ、かつダイナミックレンジが広いため、高音圧音場まで計測できた。例えば、段つき円形振動板の中心軸上約6cmで、音圧レベル160dB(基準:0,dB=20μPa)を出力することができ、この様な音場内であれば、十分浮揚実験が可能であると思われ、ほぼ目的とした音源を構成することができた。
|