研究概要 |
以下に研究成果と今後の研究の展望について箇条書きにして記す。 1.自作の自爆型スパークギャップスイッチについて、金属蒸気レーザ(MVL)の高性能化の観点から検討し、MVLの動作に必要とされる高電圧(10kV程度)、高繰り返しパルス動作(10kHz程度)、かつ大電流(800A程度)での基礎的な動作特性を把握した(応用物理学会、本学工学部研究報告にて報告)。 2.塩化銅を用いた銅蒸気レーザ(Cu-VL)について、レーザ上準位分布のエンハンシングとレーザ下準位分布のクエンチングによるCu-VLの高効率化の検討を理論的実験的に詳細に行った(電気学会プラズマ研究会、電気関係学会東北支部連合大会、応用物理学会で報告した)。 3.複合金属蒸気(Metal Vapor Complex;MVC)反応による発展的なMVLの試みとして、Mn、Pb、Ca等へ適用し、各金属の単独使用比べて、MVC反応については、赤色線と赤外の2線同時発振が得られる条件を明確にする等、新たな知見も得られた。Ca単独使用とMVC反応によるCa-VLとの比較検討も行った(電気関係学会東北支部連合大会にて報告、学会誌投稿準備中)。 4.放電に関する各種パラメータ及び金属蒸気圧、原子励起状態の有効寿命等の物理的パラメータを導入した励起と緩和に関するレート方程式と小信号近似による理論的解析結果と、実験的に得られた出力特性とのつき合わせを行い、MVLの励起及び緩和過程を総合的に検討した。これにより、色素レーザや半導体レーザ等で典型的な現象として出現する緩和発振が、条件が整えばMVLにおいても出現する可能性のある事を見出し、緩和-非緩和発振の境界条件について定性的、半定量的な説明を与えた(J.Appl.Phys.に掲載予定、Jpn,J.Appl.Phys.にて審査中)。 5.研究成果の主なものを述べたが、項目4.の検討は、MVLの性能限界を究明する上で必要不可欠であり、今後も詳細な検討を進めて行く。
|