研究概要 |
本研究では、事故終端型金属蒸気レ-ザにおける各準位分布数および光子数についての基本となるレ-ト方程式を新たに導出し、この基本方程式に基づいて緩和発振現象の立場から解析を行い、この解析結果と塩化銅蒸気レ-ザにおける実験結果との比較検討を展開した。1)小信号近似理論による解析 2)大信号理論による解析 3)自己終端効果の検討 4)共鳴放射の閉じ込め効果と同種粒子間の衝突効果を考慮した遷移確率についての検討 5)蒸気圧曲線に基づいた放電解離率の見積り 6)放電励起強度とレ-ザ出力の見積り、について検討した。この結果、塩化銅蒸気レ-ザにおける実験結果を合理的に説明し得る理論的解析結果が得られ、他の自己終端型レ-ザにも適用し得る解析的手法を展開できた。主な成果は、A)上記1),5)により従来気体レ-ザでは起こりにくいとされた緩和発振現象が、金属蒸気レ-ザにおいても起こり得ることを示し、この種のレ-ザについての新しいアプロ-チの手法を呈示した。(Jpn.J.Appl.Phys.vol.28,(1990)pp.2321-2322)。B)2),5)により厳密解から、A)の結果をより詳細に説明づけた(Jpn.J.Appl.Phys.vol.29,No.4発行予定)。C)1)-5)により、共鳴放射の閉じ込め効果が十分に生じているときには、自己終端効果を無視しても厳密解と同程度の精度でレ-ザ過程を議論できることを明らかにした。(Jpn.J.Appl.Phys.vol.29発行予定)。D)2)により、銅蒸気レ-ザにおける短光パルスの発生とその発展的応用について見通しをつけた(分光研究vol.39,No.1(1990)pp.26-28)。E)1),3),4),6)により、塩化銅蒸気レ-ザの出力を簡易に見積もる手法について言及した(Jpn.J.Appl.Phys.No.OS0203投稿中)。現在小信号近似理論による解析解と、大信号解析による厳密解とが得られる長所を兼ね備えた解の得られる可能性をもつ大信号近似解析についてさらに検討を進めている。
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