研究課題/領域番号 |
63550281
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
谷口 宏 岩手大学, 工学部, 助手 (00003880)
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研究分担者 |
斎藤 弘 岩手大学, 工学部, 助教授 (80003846)
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キーワード | 自己終端型金属蒸気レ-ザ / 銅蒸気レ-ザ / 緩和発振現象 / レ-ト方程式 / 小信号近似解析 / 数値解析 / レ-ザ出力動作温度依存性 |
研究概要 |
1965年、FowlesとSilfvastによって鉛の中性線で最初の金属蒸気レ-ザ-(Metal Vapor Laser;以下MVLと略す)発振(波長722.9nm)が報告され、翌1966年には、Walterらにより、銅その他のMVLについて金属元素を用いた1000℃程度の高温度領域における検討が行われた。MVLの中で、可視域に発振線を持つ最も代表的な銅蒸気レ-ザ-(CuーVL)については、その後1970年代の初頭に銅ハライドを用いた低温度動作化(300ー600℃)が実現して以来、装置の簡易化が急速に進んだことと相まって、銅の有機金属化合物を用いた室温程度の低温度動作化が進展し、数多くの研究成果が報告されている。CuーVLの研究のあるものでは、動作温度に依存してレ-ザ-出力波形に振動的な場合や非振動的な場合があることが観測されている。ほとんどの種類のレ-ザ-発振において、出力波形が周期的に振動する現象(緩和発振)が観測されているが、この現象の多くは固体レ-ザ-、半導体レ-ザ-、および色素レ-ザ-などにおいて見られるもので、特にルビ-レ-ザ-などの固体レ-ザ-で顕著に見られる。一方気体レ-ザ-に関しては、この現象に関する報告は極めて少ない。本研究では、CuClによる放電励起CuーVLの510.6nm発振線に見られる振動的あるいは非振動的な出力波形を、レ-ザ-上準位粒子の減衰速度の変化を考慮した緩和発振現象の立場から考察した。この議論では、レ-ト方程式を小信号近似法を用いて解析することにより、緩和・非緩和発振の条件をレ-ザ-発振時の諸パラメ-タの関数として示し、さらに非線形レ-ト方程式の計算機による数値解析結果を示した。その結果、実験におけるレ-ザ-出力波形変化の動作温度依存性を定性的に説明し得ることが可能となり、動作条件によっては、CuーVLにおいても緩和発振する可能性があることが明らかになった。
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