1.2段活性層構造は互いにトンネル接合で接続された二つのレ-ザ領域を垂直方向に積み重ねた画期的な構造で、動的単一モ-ドレ-ザにおいては、トンネル接合部に回折格子を内在化した構造とする。 2.まずGaInAsPとInPからなる単純なトンネル接合をつくり、逆接合電圧が小さなトンネル接合の不純物濃度条件を把握した。液相成長法を用いてGaInAsP/InP2段活性層構造を試作し、各層厚を設計値に制御しつつ、二つの活性層をトンネル接合で接続するための成長条件を確立した。このレ-ザの発振しきい値電流密度は平均で2.5kA/cm^2であり、通常の一段のDHレ-ザと差が無かった。 3.このウエハをもとに、試作したリッジ幅3μmのリッジ導波路型レ-ザでは波長が1.51μmでしきい値電流60mAの発振が得られた。最終的には埋め込み型が必須となるため、マストランス法を使用すべく、高温の熱処理を試みたが、トンネル特性の劣下がみられた。そこで多段活性層の効果的な電流狭窄法としては、高抵抗半導体層による埋め込み法しか無いことが明かとなった。 4.続いて2段活性層型動的単一モ-ドレ-ザの導波路設計条件を理論的に明かにし、このレ-ザを液相成長法で試作した。成長後に回折格子の深さが200〜300Åに浅くなった。これは液相成長法に特有の問題で、完全に解決するには分子線エピタキシ-法などの利用が必要である。しきい値電流密度は3〜4cm^2である。 5.レ-ザ特性の測定によって、この2段活性層レ-ザでは上下段レ-ザの活性層厚を同一にすることが明かとなったため、層厚の制御性に優れ、GaInAsPの成長ができるガスソ-ス分子線エピタキシ-法を導入して、基礎的成長条件の把握を行った。この結果GaAs上であるが、GaInP等のP系結晶の成長に成功した。
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