自律的動作を目指した知能ロボット実現のためには、多種多様な処理が必要とされる。これらの処理では、ビジュアルフィールドバックやセンサフィールドバックなどで象徴されるように、処理結果を持って次の入力情報が得られるようなループ構造となるような場合が多い。このため、本研究では個々の処理モジュールの演算遅れ時間すなわち滞在時間を極力小さくすることが要求される。すなわち、単にスループットを向上させるのみではなく、並列性を最大限引き出し、演算遅れを最小化するようなロボット応用特有のアーキテクチャを体系化することが必要である。このような観点から、処理内容が固定化したデータフローグラフに基づく演算遅れ時間最小形アーキテクチャを考案することができた。これは、並列に備えられた演算器あるいはサブプロセッサユニットの出力を、適当な相互結合回路網を通して次のレベルの演算が行えるように接続していく方式である。このようなデータフローグラフの制御を行うための相互結合回路網はデータフローをプーグラマブルに制御できる機能を有し、専用VLSとは言うものの処理内容に依存したプログラムをユーザがあらかじめ作成することにより、特殊用途の中で広い汎用性も合わせ持つことになる。このような考え方に基づく専用プロセッサとしては多くの行列演算を含むディジタルサーボシステム、センサ信号処理、逆動力学演算、座標変換、障害物回避、画像認識などに適用可能であり、その具体的構成を考案する上での基礎を確立することができた。
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