線形のフィ-ドバック制御によってシステム設計を行った場合、予期できない外乱、あるいは非線形性などの影響で目的とする精度を実現できない場合がほとんどである。これはフィ-ドバツク制御の限界であって避けることのできない問題である。これにたいして、エラ-の発生状況を分析し、誤差を強制的に零にするフィ-ドフォワ-ド信号を作りこれをフィ-ドバック制御に併用することは有用な手法と言えよう。しかしながら。適切なフィ-ドフォワ-ド信号を作り出すことは、従来極めて困難な問題であった。そこで、本研究においてはシステムの動作経緯にもとずく学習によって、自動的に作り出される信号をフィ-ドフォワ-ド信号として加えることで問題の解決を計っている。この際フィ-ドフォワ-ド制御の最も弱い点はパラメ-タ変動あるいは外乱に対して系が極めて敏感なことである。 そこで本年度は、学習を考えるに先立ちアクチュエ-タ系を取り上げ、ここでのパラメ-タ変化あるいは外乱が系に及ぼす影響を考察し、これを零にするシステム構成を考えた。ここでの考え方はフィ-ドバックパスにこのアクチュエ-タが持つべき特性を持たせたモデルをおき、常にこのモデルの特性を引き出すことで、負荷変動に影響されないアクチュエ-タ系を構成することができた。この結果従来提案されていた負荷無反応形サ-ボ機構をさらに一般系に拡張することができ、今後の本研究課題の展開に有力な手段を得ることができた。 次年度以降は、本年度の結果を基に先ず負荷変動を抑えた後に、学習機能を導入することによって、エラ-の発生状況を分析し、誤差を強制的に零にするフィ-ドフォワ-ド信号を作りこれをフィ-ドバック制御に併用する制御手法を考察する。
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