本年度の研究の結果得られた成果は以下のようにまとめられる。 (1)「設計過程のモデル化」:設計物の階層モデルを導入することによって、設計過程を目標レベル、機能展開レベル、因果プロセス展開レベル、構造・属性展開レベル、実体レベルの計5つの目標展開レベルから成るものとしてとらえることが可能となり、設計過程をこの上での目標展開の推移過程としてとらえることが可能となった。このような合理性に裏付けられたモデルの導入により、無駄な後戻りのない設計支援が可能となる。 (2)「設計者とシステムとの対話過程のモデル化」:上記モデルを設計者(ユ-ザ)と(概念)設計支援システムとの「共有モデル」として考える事によって、モデル上での注視点の推移を無駄なく効率よく制御することが設計者とシステムの対話の上で最も肝要であることが明らかになった。さらに、対話が円滑に行われるためには、設計者発話(システムへの入力)の背後にある設計者の意図を汲み取る必要があり、近年注目されている語用論(プラグマティックス)における協調の原理などを導入する必要のあることが明らかになった。 (3)「メタプラン型知識を用いた設計過程の誘導」:Suhらによる公理論的設計法(Axiomatic Design Approach)に基づいた設計過程のガイドラインの導出と、設計事例の分析結果の一般化を、説明に基づく学習(ExplanationーBased Learnin)によって行なう事ににって、設計過程上記公理論の意味での合理性に裏付けられた行為選択過程として捉え、そのための操作的ガイドライン知識の導出法を求めることができた。これは、(1)のモデルの観点から、設計事例に対するEBL法の繰返し適用に基づいた深層的事例分析を用いて実現される。
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