(1)集合並列計算(collective computation)が従来他の方法では解きにくかった組合せ最適化問題に応用されつつある。その典型例はシミュレ-テッド・アニ-リング、ボルツマン・マシン、ニュ-ラルネットワ-クなどであるが、それらはネットワ-ク表現された組合せ最適化問題の並列分散的計算方法を指向している。それらの原理はネットワ-ク要素(ノ-ド)間の複雑かつ大規模な結合関係に依存しているとは云え、その実現段階では結合複雑性上の点から限界がおきる筈である。この困難を克服するには何らかのシステム構造を必要とすると考えられる。例えば階層化ネットワ-クや部分目的間の協調競合メカニズムなど。本研究において我々は、確率化した組合せ最適化問題における目的関数の分解を考え、それにもとづく並列直列計算システム(階層化ネットワ-ク、並列ネットワ-ク)を提案した。これによってシステムの実現に際して結合複雑性を大巾におさえることが出来る。この方式の妥当性を、巡回セ-ルスマン問題に対する計算機実験にもとづいてたしかめることが出来た。 (2)シミュレ-テッド・アニ-リングは大局的最適化問題を解くのに有効な方法として知られているが、本研究では、組合せ最適化問題より情報量が多いと考えられる連続系の最適化問題にこれを適用した。元の問題は非線形回路設計の問題で、これを最適化問題に定式化している。これには大局的最小点の近傍に多数の局所的極小点が存在する。この実験によって、組合せ的最適化問題へのシミュレ-テッドアニ-リングの応用に際しての多くの情報が得られた。
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