「知識処理を含む制御系設計支援システムの開発」の最終段階として次の5つの基本サブシステムを構築した。1.「知識獲得支援システム」:制御系設計の際に必要とされる知識の獲得を行うシステムで、獲得した知識を設計者が使いやすい形で登録・追加・修正する機能を有する点に特徴がある。2.「対話型同定支援システム」:離散時間システムの同定を支援するシステムで、推定手法・モデル次数およびサンプリング時間の選定を支援することを目的としており、同定結果の評価を含ませた点に特徴がある。3.「制御系CADシステム」:多入力・多出力制御系の設計支援を目的としたグラフィックス機能を活用した制御系のCADシステムの構築を行った。このCADシステムが有する設計手法に、従来の多変数制御系設計手法および新たに考案したH無限大混合感度問題を取り扱ったロバスト制御設計手法を取り入れてある点に特徴がある。4.「適応制御系のス-パバイザ」:適応制御方策のうち、直接型の最小分散セルフチュ-ニングコントロ-ル(STC)に注目し、従来提案されている種々のSTCの大域的収東性について検討した。さらに、収東性・計算負荷の点で特徴のある新たなSTCアルゴリズムを考案した。次に、様々な特徴をもつシステムに対し、どのように設定パラメ-タを選ぶかをシミュレ-ション実験を通して考察を行い、この結果を開発したサブシステムに取り入れ、運転条件を判断できる機能を有する。5.「知識に基づく制御系設計支援システム」:制御対象が数式表現で表し難い場合に適用される制御系設計支援システムで、制御対象を試行錯誤的に操業を行う過程から得られる情報・知識を獲得・学習することにより、仕様に合致する制御器の構築を支援するものである。制御器の構成および情報・知識の表現・学習をファジィ理論で行い、その有効性に関する検討を行った。
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