本研究は、パイプライン等の長大地中埋設構造物の地震時挙動を遠心模型実験によって再現することを目的とし、ドラム型遠心力載荷装置内で作動する振動装置を開発し、それを用いた実験手法を確立するとともに、地盤工学への応用事例として盛土の地震時挙動、および地中埋設管の地震時挙動を明らかにせんとして行われたものである。本研究の成果は、つぎの2点に要約される。 1.世界で初めて長大構造物の地震時挙動を室内実験で再現できるドラム型遠心力載荷装置用の加振装置を開発し、平成2年2月末現在までに最大水平速度200galの模擬地震を200回以上発生させることに成功した。本装置の諸元はドラム直径が0.8m、最大遠心加速度150Gであり、開発された地震装置は、最大遠心加速度80Gのもとで、長さ0.4mの模型地盤が加振可能であるので、プロトタイプに換算すると、長さ32m、深さ4m、幅8mの地盤に水平加速度200galの地震が作用するときの挙動のモデル化が可能である。この原理を応用してさらに実物大に近い規模の地盤に地震動を加えることが可能と成った。 2.盛土への適用実験から、地震時に発生する盛土天端の軸方向クラックが再現された。埋設管への適用実験から、地中埋設管の変位は地盤の変位に追従し、地盤変位の軸方向変位はほぼ正弦波形として伝播ることが確認された。また埋設管内には軸方向応力が卓越し、さらに地盤の変化点でのひずみの卓越が実験的に再現されたので、今後このシステムによりより詳細なパラメリトリックスタディが可能である。
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