2年間にわたる低拘束圧を受けている陸成粘性土の飽和、不飽和土の静的・動的せん断試験を行い、それぞれの条件におけるせん断特性の把握を行ってきた。その結果を要約すると以下のとおりである。 1.低拘束圧領域で求めた飽和粘性土の非排水せん断強さは高拘束圧領域で得られた強度増加率より算出された非排水せん断強さより50%程度大きな値を示す。 2.飽和粘性土の強度異方性は拘束圧力、過圧密にはほとんど影響を受けずほぼ一定である。 3.不飽和土のせん断強さは乾燥密度が低く、含水比の高いほど低下の割合が大きくなる。また、先行応力比(P_o/σ_o)が大きいほどせん断時の降状点は明白に表われ、降伏応力は先行応力比、拘束圧力、含水比の大きさによって変化する。 4.45°面上のτ_fとσ_fは直線関係にあり、その直線の勾配φより求めたsinφは先行応じ力比が8以下ではlog(P_o/σ_o)と直線関係にあり、(P_o/σ_o)が8以上になると次第に1に漸近する。 5.任意の含水比(w)、先行応力比(P_o/σ_o)=nでのsin^<-1>(τ_f/σ_f)であるφ_<wn>は次式で表わされる。 φ_<wn>=π/2-(π/2-φ_<w1>)exp{-(0.434W(P_o/σ_o))/((π/2-φ_<w1>)cosφ_<w1>)} 軸差応力q_dを繰り返して受けたときの残留ひずみは載荷回数が100回程度ならば、静的にq_dに相当する軸差応力を受けたときの軸ひずみとほとんど同じである。 7.土が破壊しない限り、載荷時の軸ひずみε_oと除荷時の軸ひずみε_oの比は載荷回数とともに1に漸近し、不飽和土では繰り返し応力載荷により次第に弾性的な性質が卓越する。
|