研究課題/領域番号 |
63550360
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
宇野 尚雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (70021582)
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研究分担者 |
杉井 俊夫 岐阜大学, 工学部, 助手 (90196709)
佐藤 健 岐阜大学, 工学部, 助教授 (80135326)
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キーワード | 浸透破壊 / 全体破壊 / 局部破壊 / 限界動水勾配 / 非均質性 / 土粒子形状 / 土粒子噛み合い効果 |
研究概要 |
円筒管と箱型土槽を用いた室内浸透破壊実験を行った。箱型土槽の実験は、矢板周りの二次元透水場を再現しようとしたものである。土槽側板との接合方法、試料締め固め方法、土圧・間隙水圧の測定法の問題点が明らかになった。こうした点を解決すべく、来年度の実験に向けて装置の改良を行っている。一次元透水場における浸透破壊実験を円筒管を用いて行った。破壊に達するまでの各部の変状とその形態を詳細に観察し、浸透破壊の発生・拡大機構を考えるうえで有意義な知見を得た。破壊に到る形態として、(1)糸状みずみち、(2)表面膨張、(3)全体膨張、(4)みずみち、(5)対流、の5つが観察された。(1)、(2)の段階では、流量急増は認められず、(3)の段階から流量急増現象が認められることが分かった。(2)が観察される時点をもって浸透破壊発生とすれば〈1〉Terzaghiの限界動水勾配が概ね首肯できること、〈2〉試料内部に弱部が存在する場合、限界動水荒廃が小さくなること、〈3〉標準砂の方がガラスビーズよりも幾分大きめの限界動水勾配からの乖離となること、〈4〉初期間隙比が小さいものほど、限界動水勾配からの乖離が大きくなること、以上が明らかになった。土粒子形状、土粒子の噛み合い効果、試料の非均質性による影響の発現と考えられた。浸透破壊現象に与える土の非均質性の影響を調べるため、確率論を援用した。実際の問題では、地盤中の弱い部分に流れが集中し、その部分から破壊域が拡大する例が多い。弱部探索は大変難しいけれども、確率論を用いて検討したところ、全体破壊に対する安全率が1.2程度になっている場合でも、局部的安全率が1.0を下回る土要素が全体で半分程度出現する可能性のあることを指摘することができた。以上の成果は、土質工学会誌「土と基礎」1989年6月号にて、広く公表されることになっている。
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