主応力値は変えずに主応力方向の回転のみを与えた場合(応力状態がモールの応力円周上を回る場合)でも、かなりの量のひずみが発生することが報告されているが、このような現象を説明できる土の構成式がほとんどないのが現状である。これは、主応力比や平均主応力値が変化しなければひずみが生じないという既存の土の構成式(応力の不変量や主応力で表示されている)の中で、残されている最も基本的な問題の1つと考えられる。そこで、一般応力(σ_x、σ_y、τ_<xy>)を制御でき主応力方向の回転も与えられる高精度の一般応力試験機を2次元粒状体モデル(アルミ丸棒積層体)を試料として試作し、提案中の一般応力増分(dσ_x、dσ_y、dτ_<xy>)と一般ひずみ増分(dε_x、dε_y、dγ_<xy>)を直接結び付けた十の構成式を種々の一般応力経路下で検討した。また提案構成モデルを用いて帯状荷重を受ける砂地盤の有限要素解析も行った。得られた成果は次のようである。 1.載荷板に作用する垂直力とせん断力を同時に直接測定可能なヒズミ・ゲージによる計測システムを導入して、σ_x、σ_y、τ_<xy>を直接計測可能とした。 2.モールの応力円に沿って何回も応力状態を回転させる複数回主応力方向回転試験(逆回転も含む)を行ない、提案構成モデルに基づいて解析した。 3.ひずみの"一般"応力経路依存性を検討するために、初期応力点と最終応力点が同じ3種の一般応力経路試験を行ない、提案構成モデルに基づいて解析した。 4.提案構成モデルを用いて、一様な帯状荷重を受ける砂地盤の有限要素解析を行ない、主応力軸の回転が沈下量や側方変位に及ぼす影響がかなり大きいことを示した。
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