研究課題/領域番号 |
63550367
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研究機関 | 和歌山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
佐々木 清一 和歌山工業高等専門学校, 土木工学科, 助教授 (90043546)
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研究分担者 |
西田 一彦 関西大学, 工学部, 教授 (20067581)
久保井 利達 和歌山工業高等専門学校, 土木工学科, 助教授 (90099838)
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キーワード | 風化残積土 / まさ土 / 不飽和浸透 / 風化度 / 斜面崩壊 / 物理化学的性質 |
研究概要 |
1.風化度は、自然斜面の安定度に大きく影響を及ぼす。したがって、風化度を表示する指標として、不かく乱状態の場合は、かく乱された試料を対象とした強熱減量、みかけ比重よりも透水性や強度に結びつきやすい間隙比、乾燥密度の方が斜面の特性を表現しやすい。さらに、これらの指標は、現位置試験から容易に測定できるため、地盤のゆるみを定量的に把握する物理量として有効であることが判明した。 2.加圧膜および加圧板法によるpF試験を行ない水分保持曲線を測定し、風化度と土構造との関係を検討した。その結果、風化度の大きい試料は、小さい試料に比較して複雑な段階状の曲線形となる。そこで、空隙分布を調べた所、風化度の大きい試料ほど、ほとんど5μm以下の空隙にかたよった分布をしていることが明らかとなった。このような特徴は、斜面の崩壊場所に見られる粘土粒子の目づまりに伴う間隙水圧の上昇が原因とされている調査報告を裏づけるものである。一方、微小空隙の増加は、拘束水分量とも関係している。 3.自然斜面から採取した土層ブロックの浸透実験を行ない飽和、不飽和浸透パラメ-タを決定した。その結果、Irmay型の式と水分保持曲線の実験式とを組合わせることにより、風化度に対応する不飽和透水係数の推定が可能である。しかし、複雑な土構造の影響があるためデ-タが、かなりばらつきを呈する。この傾向は風化度の大きい試料ほど著しい。そこで、空隙特性と拘束水分を考慮することにより、浸透パラメ-タの定量化の精度の向上が可能となった。今後、容易に測定される水分保持曲線を利用し、Van Genuchtenの関数モデルによる浸透パラメ-タの評価法についても検討を試みる。さらに、モデル斜面について浸透流解析より間隙水圧を推定し、浸透後の強度定数を用いた安定解析から、降雨後の斜面崩壊の状況を把握できる見通しをつけた。
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