研究課題/領域番号 |
63550371
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 和也 京都大学, 工学部, 助教授 (50026126)
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研究分担者 |
細田 尚 京都大学, 工学部, 助手 (10165558)
綾 史郎 京都大学, 工学部, 講師 (00026361)
松尾 直規 中部大学, 工学部, 助教授 (20093312)
岩佐 義朗 京都大学, 工学部, 教授 (50025821)
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キーワード | 湖沼 / 流動拡散 / 水温成層 / 数値解析 / 吹送流 / 水質予測 |
研究概要 |
湖沼として、閉鎖性の強い天然湖沼と、水質問題が厳しい人工湖沼であるダム貯水池をとり上げ、それぞれの流れを三次元的に数値解析する方法をいくつかの観点から検討するとともに、とくに水質にかかわる各種の物質の輸送に大きい影響を及ぼす成層の形成・発達・崩壊を追跡しうるための基礎的な考察を行った。まず、流れの場を支配する基礎式として、水平面内の二方向の運動方程式、浅水仮定による鉛直方向の静水圧分布式、連続式および密度に関する保存式を、三次元空間において差分法によって非定常に数値解析する方法を考察した。通常の直方体格子および一般曲線座標系における格子のもとで、時間方向にLeap-frog法、Adams-Bashforth法およびオペレータ・スプリッティング法を適用し相互の比較を行った結果、時間方向に関してはAdams-Bashforth法が計算所要時間の点でわずかながら有利であることが見い出された。また、計算の安定性を最もきびしく制限する因子の一つであるバロトロピック成分については、implicitな計算法を導入すれば、周期の短い表面モードが除去されるものの、内部モードなどの長周期の成分はかなり容易に計算されることがわかった。また、安定性に関するもう一つの因子である移流項には、流速の小さいときは上流差分、流速の大きいときはQUICK法が便利なことが知られた。計算結果に見られる湖沼の流れから、水質変換過程に影響する相当の期間の成分は、Coriolis力および成層の有無の影響をきわめて強く受けることが分り、研究目的の一つとしている湖沼の流れと水質の関連について示唆が得られたと考えている。さらに、湖沼の流れおよび水質の分散を表現する渦動粘性係数および渦動拡散係数について、近年発達している乱流モデルのうち、LES(large eddy simulation)を適用する場合の問題点について、湖沼という大規模な地形条件の面からみた検討を加えるとともに、いくつかの試算を行った。
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