研究概要 |
約20年前に滑面乱流境界層流れの壁面近傍にバ-スト現象が発見され、これが乱れエネルギ-の発生機構であり、組織立った渦構造をもつものとして流体力学の分野で注目され、現在、「組織乱流」と命名されて精力的に研究されている。滑面開水路流れにも同様なバ-スト現象が存在することが筆者ら(J.Fluid Mech,1977)によって解明されたが、粗面乱流さらには移動床上での組織乱流の構造は、現在でも不明な点が多い。 2年間にわたって遂行された本研究は、河床条件を(1)滑面、(2)不完全粗面及び(3)完全粗面に系統的に変化させ、レ-ザ-流速計で流速変動成分を高精度に、計測することによって、粗度が流連分布、乱れ特性値などに及ぼす影響を検討したものであり、多くの知見が得られた。 瞬間レイノルズ応力の内部構造を筆者が開発したQuadrant理論を用いて解析し、半値しきい値法を導入して、ejection及びsweep運動の発生周期や滞在時間を解析した。これまで論争の中心であったバ-スト周期の内部変数・外部変数依存説を検討した所、バ-スト周期は外部変数によって支配され、壁面粗度の影響を受けないことが明らかとなった。 瞬間レイノルズ応力の発生に寄与するejection及びsweepの寄与率を計算すると、バッファ-層(Y^+=YV*/D【less than or similar】)以上ではejection運動がsweep運動より大きく、すなわち前者は約77%、後者は60%の寄与率となった。粗面乱流になると、sweep運動が強くなり、ejectionとsweepのバ-スト現象に及ぼす寄与率はほぼ同程度になることがわかっ 本研究では、さらに、滑面から粗面に、また逆に粗面から滑面に河床条件が変化する場合の乱流構造の解明まで研究を発展させた。 以上の研究成果は、成果報告書で印刷物として出版される。
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