本研究の目的は、昭和62年7月に開業した仙台市地下鉄南北線によりその沿線の交通需要構造及び土地利用の変化を実証的に調査研究し、それによる効果と問題点を明らかにすることである。地下鉄開業前における一日当りの乗客予測は約22万であったが、開業後の実績は12〜13万人と予測とは大きく異なる結果となっている。その原因として考えられるのは、沿線の土地利用が計画どおりに進捗していないこともあるが、最も大きな理由は、自家用車利用者の地下鉄への転換が非常に少ないことことである。これは予測時における交通機関分担モデルの構造にも問題がある。予測モデルでは、集計ロジットモデルを採用し、要因として所要時間のみからなるモデルを作成している。従って、地下鉄開業による時間短縮効果から地下鉄への転換を過大評価する結果となってしまった。 本年度は特に地下鉄開業に伴う商業立地動向に着目し、研究を進めた。方法的には、Huffモデルを用いて商業地選択モデルを作成した。その結果、地下鉄開業の影響がその両端部において特に大きく、また都心部を含む地下鉄沿線においても正の効果が表れていることが明らかとなった。逆に地下鉄の影響が少ない仙台市西部、東部においては負の効果がでていることも判明した。また本研究で開発した商業立地モデルは、その予測性が高いため、現在仙台市で建設中の地下鉄延長工事、計画中の地下鉄東西線による時間短縮を考慮し、その効果を計測したところ、今後増々それらの沿線に商業施設が集中することが明らかとなった。従って地下鉄の整備により土地利用の変化がその沿線で急速に変化することが予測されるため、引き続き調査研究を進める必要がある。
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