本研究は高所から撮影したビデオ画像とパーソナルコンピータを組み合わせて、静止した画面上に表示された歩行者や自転車あるいは自動車の位置を、ディジタイザーのカーソルの座標として読みとる装置を開発し、それを実際の交通流現象の調査解析に応用しようとするものである。本年度の研究実績を箇条書にまとめてみる。 1.本年度は本補助金により購入した高解像度のビデオカメラを使用して測定精度の検討などの基礎実験を行った。その結果測定精度の向上が見られ、カメラアングルの違いによる計測比較が可能となった。特に測定精度の検討については、ビデオカメラの据え付け位置による撮影角度と測定誤差の関係、ディジタイザーで画面から対象物を読みとる際の判読者の個人差など有用な基礎データが蓄積された。 2.ビデオ画面から読みとったX-Y座標を現地座標に変換するアルゴリズムを利用したソフトウエア、および収集されたデータから人や車の軌跡をプロッターに出力し交通流のパターン分析を行うソフトウエアが開発された。 3.パイロットスタディとして市内にあるスクランブル交差点で撮影したビデオフィルムを利用して、歩行者と自転車のコンフリクトの解析が行なわれた。現実の交差点での観測およびビデオ撮影については、栃木県警察本部交通部の協力が得られた。その結果、当該スクランブル交差点における自転車交通についての問題点を指摘することが出来、その成果を将来の交差点改良及び信号制御の改善に適用することが期待されている。 4.なお、本年度の研究の成果については、国内の土木学会および交通工学研究会で、またカナダで行なわれた国際会議において発表報告し、他の研究者と意見交換を行なった。
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