マイクロエコシステムとしての循環式閉鎖水路に関東ロ-ムと思われる赤土を敷き詰めて、流水-底質系における土壌へのウィルス吸着実験を行った。モデルウィルスとしてはRNAファ-ジQβを用いた。その結果以下の結論を得た。 1.流水-底質系においては底質の存在によって流水中のウィルス濃度の自然減衰速度はきわめて小さくなる。底質のない場合は96時間で10^<-3>に減衰したが、底質の存在する系においてはほとんど減衰がみられなかった。 2.流水-底質系における流水中のウィルスの存在形態としては、ウィルス粒子が単独で浮遊しているものとSSに付着して存在しているものの2種類に分かれる。よって流水中ウィルス濃度はSSの沈降、再浮上によって大きく変化する。 3.底質の表層附近の領域は流水中のSSと沈降、再浮上を通して交換が激しいため、付着したウィルスの存在量はきわめて多い。断面平均流速11.2cm/s、レイノルズ数1550の条件(乱流)においては表層よりおよそ1mmの厚さの領域がこれに相当すると推定された 4.大腸菌ファ-ジQβの場合、底質に吸着した量(PFU/g)とその近傍の水中の濃度(PFU/m )の比は最大で46.5(m /g)であった。
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