PE、PP、PS、PVC、6ーナイロン、PET、ABS樹脂の7種類の樹脂及び、新聞紙、輪ゴムのそれぞれ数10mgについて、窒素雰囲気下と空気雰囲気下で、TGーDTA分析装置を用いて熱分析した結果、次の知見を得た。1.窒素雰囲気と比べ、空気雰囲気では試料が分解し揮発する温度の範囲が低くなり、また揮発しきらずに残る灰分が少なくなる傾向がある。2.プラスチックの熱分解反応は吸熱反応であり、これに対し燃焼反応は発熱反応であることが確認された。3.輪ゴムの熱分解反応及び燃焼反応、6ーナイロン、PET、ABS樹脂の燃焼反応は2段階の反応であった。また、PVCについても緩慢に揮発する高温の最終段階を除くと熱分解反応、燃焼反応ともに2段階の反応であった。4.PP、PS、PET、及び新聞紙は、空気雰囲気で昇温してゆくと自己発火したが、これに対し、PVC、ABS樹脂、及び6ーナイロンでは、このような自己発火はみられなかった。 前記と同様のペレット状のPE、PS、PVCそれぞれ1gについて、電気炉を用い窒素雰囲気下で、500℃、650℃、800℃の3種類の温度設定のもとで15分間熱分解し、分解生成物を塩化メチレンで捕集した後、GC/MSで分析し、次の結果を得た。PEについては、500℃及び650℃で炭化水素が多く同定され、分子量の比較的高いものではアルケンが多かった。800℃では、芳香族炭化水素が多く同定された。PSについては、ベンゼン環に炭化水素基の付加したものが多く同定され、650℃及び800℃では多環芳香族も多く同定され、高温での多環化が予想される。PVCについては、500℃でベンゼン環のの数の少ない芳香族が多く同定され、650℃及び800℃ではベンゼン環の多い芳香族が多く同定された。有機塩素系化合物は今回の分析条件では検出されず、別途濃縮などの前処理が必要であることがわかった。
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