研究課題/領域番号 |
63550397
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 正憲 大阪大学, 工学部, 助教授 (70029289)
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研究分担者 |
岩堀 恵祐 大阪大学, 工学部, 助手 (40183199)
古川 憲治 大阪大学, 工学部, 助手 (60029296)
橋本 奨 大阪大学, 工学部, 教授 (40029260)
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キーワード | フェノール分解 / サリチル酸分解 / 廃水処理 / 遺伝子組換え / 固定化微生物 / インジゴ生成 |
研究概要 |
1.フェノール分解菌(Pseudomonas putida BH)ならびにナフタレン分解菌(P.putida PpG1064)のフェノールおよびサリチル酸分解遺伝子のクローニングを行い、続いてこれら遺伝子をRSF1010由来のコピー数の多い広宿主域ベクターであるpKT230に組み込んでPseudomonas属細菌の受容菌に導入し、フェノール・サリチル酸分解ならびに増殖速度を高めることに成功した。これにより排水処理施設のコンパクト化を計ることが理論上可能となった。また、芳香族化合物は、catechol,2-hydroxymuconate semialdehyde, α-ketoadipateなどの多くの分解経路を経由し、これらが全体として調節されているので、これらの経路の制御遺伝子を強化することが組換え微生物の分解速度促進に重要であることが再確認された。 2.高発現ベクターによる高分解能の賦与は、酵素のオーバープロダクションによる受容菌の生命維持に必要な蛋白質生産を阻害するので、遂には分解能を失うことになりかねない。これを避けるために、分解遺伝子をステップごとにこま切れにして各々に強力プロモーターをつなぎ、これを同一株の異なった菌に挿入した後、リアクター内で混合する組換えDNA混合培養を行った。また、組換え株の生態学的安定性を図るため、微生物を固定化し、活性汚泥と共存する系を想定して検討したところ、極めて分解活性が高く、分解能の安定した活性汚泥が得られた。 3.ナフタレン分解プラスミドからの分解遺伝子を組込んだ細菌をフェノールに作用させたところ、フェノールよりピロガロール様物質が生成した。一方、フェノール分解遺伝子をインドールに作用させたところ、インジゴが生産された。以上の結果より、芳香族化合物分解遺伝子による新規物質の生成の可能性が展望された。
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