研究課題/領域番号 |
63550398
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
青山 勲 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教授 (10026239)
|
研究分担者 |
中島 進 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (60033122)
村本 茂樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (50033121)
八木 正一 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (30157961)
|
キーワード | 水圏生態系 / 有害化学物質の運命 / 食物連鎖 / 毒性評価 / 酵母 / 環境変異原性試験 / 水銀化合物 |
研究概要 |
1.食物連鎖を通しての重金属の移行と毒性 水圏生態系における有害化学物質の運命を支配する重要な因子に食物連鎖がある。この食物連鎖を通しての物質の移行と毒性の発現に及ぼす影響を評価するために、補食生物にミジンコを、被食生物に植物プランクトンであるクロレラを用いた。本研究において有害化学物質として重金属のカドミウムと六価クロムを用いた。重金属によって汚染した餌、クロレラをミジンコに投与した。ミジンコのコントロ-ルとして、餌を投与しないものと、非汚染餌を投与したものの2群を設定した。ミジンコの経日的な死亡率を計測することによって毒性を評価した。ミジンコの死亡率は、飼育水中の重金属濃度が低い時、汚染した餌を投与することにより、初期には補食により死亡率は低下するが、経日的に重金属が体内に濃縮され、死亡率が増加していった。重金属濃度が高い時には、投与直後から、汚染餌の補食による死亡率の増加が認められた。 2.酵母を用いた環境変異原性試験 従来環境変異原性試験には原核生物が用いられてきたが、本研究においては、高等生物と同様な核構造を有する真核生物である酵母の突然変異体を用いて環境変異原性試験を行う可能性について検討した。酵母には三種類のDNA修復機能があり、それぞれの修復機能欠損株を用い、野性株との増殖量の差から化学物質によってDNAが損傷を受けたかどうかを判定しようという考え方に基づいている。これらの株を用い、今年度は各態水銀化合物の毒性強度の差について検討した。6種の水銀化合物について検討した所、無機水銀より、有機水銀の方が約100倍毒性の強いことがわかった。また有機水銀の中でもメチル水銀の水酸化物より、塩化物の方が数倍毒性が強かった。しかし水銀に関しては、突然変異体の方が野性株より感受性が低いという逆転現象が見られた。
|