鋼構造及び鋼管コンクリート構造で柱鉄骨に角形鋼管を用いた柱貫通形式の柱はり接合部の補強法として有孔内ダイアフラム形式を採り上げ、柱へのコンクリート充てんの有無、内ダイアフラムにあける孔の形状、及びはり幅等を実験変数とした4体の接合部モデル試験体の引張載荷実験を行い、以下の成果を得た。1.柱にコンクリートを充てんした場合の接合部の耐力は、鋼管管壁の面外曲げ抵抗に基づく負担耐力と内ダイアフラムのせん断抵抗に基づく負担耐力の累加により算定できる。2.柱にコンクリートを充てんしない場合の接合部の耐力は、柱にコンクリートを充てんした場合に比較して大幅に低下する。3.はり幅が柱幅と同一の場合は、破壊が柱のコーナー部より発生し、最大耐力が小さく、変形能力が著しく乏しい実験結果を得た。 柱鉄骨の形状として〓断面を用いた各種構造形式の柱と鉄骨はりの柱貫通形式の柱はり接合部の補強法として鉛直スチフナ形式を採り上げ、柱の構造形式、柱鉄骨の断面寸法、およびスチフナの幅・材厚等を実験変数とした8体の接合部モデル試験体の引張載荷実験を行い、以下の成果を得た。1.接合部の耐力は柱の構造が純鉄骨、鉄骨コンクリート、及び鉄骨鉄筋コンクリートの順に上昇する。2.柱が鉄骨コンクリート構造の場合、接合部の耐力は柱フランジの面外曲げ抵抗に基づく負担耐力と鉛直スチフナの局部引張り抵抗に基づく負担耐力の累加により概ね算定できる。3.鉛直スチフナの材厚は厚くすると接合部の耐力が上昇するが、幅は特定の幅以上に拡げてた場合は接合部の耐力上昇は期待できない。 以上の研究成果に基づき平成元年度の研究計画を立案した。
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