柱がはりの軸方向変形を拘束すると考えられる不静定骨組みの繰り返し実験と解析を行ない次の結論を得た。実験は、高層鉄筋コンクリート建物のはりを2/7に縮小した一層一スパン骨組みで行なわれた。 1)水平力を受けるはり降伏型の鉄筋コンクリート骨組みの柱の上下にピンを取りつけ、その位置では柱の変位を拘束することによりはりの軸方向変形を拘束したところ、はりに圧縮軸力が発生し、拘束を受けないはりに比べ耐力が上昇した。はりの軸力をないものとしてe関数法により求めた矩形はりおよびスラブ全幅有効としたT形はりの耐力に対し、実験結果は、矩形はりで約2.7倍、T形はりで約1.5倍にも上昇した。 2)実験では、部材角1/200以下で、その耐力がはりの軸力をないものとしてe関数法により求めた計算値に達しており、かなり小さな変形レベルでもこのような現象が起きていることが明らかとなった。 3)降伏しようとしている鉄筋コンクリートはりは軸方向に伸びようとするために、この伸びを抑さえている柱には付加せん断力が作用し、2本の柱のせん断力分担の割合が著しく片寄った。実際の構造物でも一階の外柱ではこのような現象が著しく現れることが考えられ、構造物の柱やはりに生じる塑性ヒンジ形成に影響するものと考えられる。 4)接合部パネルのせん断変形、鉄筋の付着すべりを考慮した分割はり法によく説明することができ、部材の軸方向変形の影響も含めて、鉄筋コンクリート骨組みの会席に対し、本解析法が有効であることを示した。 5)水平力を受ける鉄筋コンクリート骨組みの解析を行なった結果外柱のせん断力分担の割合が大きく変化した。これは、転倒モーメントによる柱の軸力の変化に伴う曲げ耐力の変化によるものだけではなく、はりの軸方向伸びを拘束するために柱に付加せん断力が生じたためである。
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