連層耐震壁を含む鉄筋コンクリ-ト造建築物を設定し、地震応答解析によって壁の架構変形制御能を壁および連成する柱梁架構の剛性、強度を変数として評価した。RC造では高層な14層建物(高さ45m)を解析モデルとして設定した。基本断面寸法等の実建物の数値に即して定めた。モデルの連層壁の縦横長さ比はRC造低層建物に設けられる柱と同程度であり、本モデルの壁は面材ではなく、線材として捉えた方が適切な形状である。 解析は、開発を継続してきた架構を構成する柱・壁・梁の各部材の弾塑性特性に基づき架構の弾塑性状態を定めて応答を求める手法によった。本年度は以下の3点に注目し、変数をパラメトリックに採る解析を行った。 1.連層耐震壁を架構内に計画することにより、地震時架構応力の応力再配分をどの程度行ってよいか。 2.壁・柱梁架構の連成骨組の地震応答変形を均一にするには梁部材にどのような強度分布を計画すればよいか。 3.架構の変形を連層壁によって規約するには、架構内にどの程度の量の壁(壁量)を計画する必要があるか。 本研究において、各項目について以下の結論が得られた。 1.ある程度剛強で、かつ終局時降伏形が壁脚曲げヒンジの壁が計画されれば、応力再配分には特に制限を設けなくともよい。壁周辺で総和として梁の終局強度が確保されれば、層にわたった応力再配分をしてもよい。 2.梁部材の剛性(寸法)に依存するが、壁周り境界梁の部材強度を等しく計画すると、梁部材の応答塑性率が均一化する。壁上部に曲げ戻し効果が期待され、架構の変形が各層で均一化し、望ましい変形性状を呈する。 3.必要壁量は、壁強度ならびに柱梁架構強度の組合わせにより個々定められる。本研究では、架構の変形を定量化する評価指標を提案し、指標に限界値を設定することより、必要な壁量を算定する過程を提案した。
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